琉球大学 質の高い臨床教育・研究の確保事業

研究プロジェクト臨床研究専門職の確保と
分散型臨床試験(DCT)の推進

このプロジェクトでは、患者さんや医師・研究者の負担を軽減しながら、 質の高い臨床研究を活性化することを目指すため、次の3つを実施します。

1.臨床研究専門職の育成と配置

2.情報技術を活用した分散型臨床試験(DCT)の推進

3.患者と市民の積極的な参加の促進

これにより良い治療法を社会へ届けることに貢献します。

これまでの臨床研究の体制や手法を大きく見直すよ

背景と目的

  • 日本のCOVID-19治療薬臨床試験への貢献は先進国中最下位で、日本の臨床試験の基盤が脆弱であることを露呈させました。2018年に臨床研究法が施行されて、研究実施のハードルが高くなり、臨床研究の数は減少の一途を辿っています。さらに2024年より実施される医師の働き方改革により、臨床研究の時間確保がますます困難になることが予想されます。医師にとって診療と研究、研究を両立するのは容易ではなく、臨床研究の細分化された業務を統率しながら、終了まで管理することは並大抵なことではないからです。
    大学や研究機関で行われる臨床研究は、医療に関する重要な疑問を解決するための本質的な研究である場合が多く、これらの研究の減少傾向が続くと、医療の質そのものに悪影響を与えることになりかねません。

    琉球大学では、これまでにも臨床研究者の育成と臨床研究支援体制の構築に取り組んできました。その成果として、大学院で「臨床研究教育管理学講座」の設置やフェローシップ制度を導入したり、認定CRC(Clinical Research Coordinator)などの支援人材の配置によって、医師主導治験や特定臨床研究を推進してきました。これらの取り組みにより、沖縄県内の医療機関の連携を強化し、県全体で臨床研究を行う基盤を築いています。

    医師や患者さんの負担を減らしながら、どうやって臨床研究を活性化させる?

  • 本プロジェクトでは、危機的な状況にある日本の臨床研究を活性化させ、臨床研究への効率良い支援体制や新しい枠組みを提案するものです。そのためにはクリアしなければならない3つの課題があります。

    1. 医師の負担軽減

      臨床研究を総合的に理解し、医師と伴走しながらプロジェクト全体を管理できる専門職の育成、配置による医師負担軽減を目指します。

    2. 患者さんの負担軽減

      従来の臨床試験は、患者さんは病院や研究施設に何度も訪れる必要があり、多くの時間を割く必要があり、フルタイムで働く人、障害を持つ人、介護をする人、地方に住む人の参加を難しくしていました。これは試験結果の一般化を妨げる問題ともなっています。そこで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用して、自宅など遠隔地から試験に参加できる患者中心の分散型臨床試験 - Decentralized Clinical Trials(DCT)- を推進します。

    3. 患者や市民の参画 - Patients Public Involvement(PPI)

      研究の立案や実施において、患者さんや市民が積極的に関わることで、研究の価値が共有され、参加や継続のモチベーションが高まります。DCTにより患者負担を軽減することもPPI推進の原動力になると考えています。患者、市民と協働するためのコンソーシアムを作り、臨床研究計画の立案から実施までの患者・市民の参画体制を構築します。

    専門職、DCT、PPIの三本柱で推進していくよ

事業計画

  • 令和5年

    • 事業推進委員会を設立
    • 外部評価委員会を設立
    • 臨床研究専門職ワークグループを設置
    • DCT/PPIワークグループを設置
    • 専門職OJT、育成プログラム開始
    • 臨床試験⻁の穴フェローシップ開始
  • 令和6年

    • PPIコンソーシアム形成
    • DCTオペレーション実施
    • 専門職OJT、PPI活動、育成PG、フェローシップを継続
  • 令和7年

    • PPI/DCTを活用し臨床研究専門職が支援する臨床試験を実施
    • 専門職OJT、PPI活動、育成PG、フェローシップを継続

虎の穴フェローシップでは、毎年数名の研究者を集中的に支援するよ